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~獣医麻酔外科学会に参加して~
先日、大宮で開催された獣医麻酔外科学会に参加してきました。
さまざまな講演を聞く中で、改めて「なぜ短頭種は麻酔のリスクが高いのか」ということを学び直す機会がありました。
フレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭種を飼われている方の中には、
「麻酔は危険だからできれば避けたい」
と思われている方も多いのではないでしょうか。
では、なぜ短頭種は麻酔のリスクが高いのでしょうか。
■ 麻酔中ではなく「麻酔から覚める時」が危ない
実は短頭種の麻酔トラブルは、**麻酔中よりも麻酔から覚める時(覚醒時)**に多く起こります。
例えば、
・自分で十分に呼吸ができず、気管チューブを抜くことができない
・抜管後に喉が腫れ、呼吸困難になってしまう
といったケースです。
短頭種は麻酔後の呼吸器合併症が一般犬の約4倍起こると報告されています。
■ 原因は「もともと気道が狭いこと」
短頭種は生まれつき、
・鼻の穴(外鼻孔)が狭い
・喉の入り口(咽頭)が狭い
・軟口蓋(のどの奥)が長い、または厚い
といった特徴があり、空気の通り道が狭くなっています。
これは例えるなら、細いストローでマックシェイクを飲んでいるような状態です。
空気を吸うたびに強い力が必要となり、気道には常に大きな負担がかかっています。

■ 呼吸は「筋肉の頑張り」で成り立っています
普段狭い気道でも呼吸できるのは、上気道拡張筋という筋肉が狭い喉を広げてくれているからです。
しかし、この筋肉も毎日休みなく働いているため、少しずつ疲弊して機能が低下してしまいます。
そこへ麻酔をかけると、この筋肉の働きが一時的にさらに低下します。
すると、目は覚めて動けるのに、呼吸だけがうまくできないという状態に陥ることがあります。
一方で、目が覚めれば気管チューブは嫌がるため、いつまでも入れておくこともできません。
これが短頭種の麻酔管理を難しくしている大きな理由です。
■ 一番の予防は「若いうちの治療」
こういった短頭種の呼吸器のトラブルは「短頭種気道症候群」と言います。
短頭種気道症候群は進行性の病気です。つまり一度進行するともとに戻せなくなるのです。
狭い気道で呼吸を続けることで、喉や気道への負担は年齢とともに蓄積し、状態は少しずつ悪化していきます。
そのため、
・外鼻孔を広げる手術
・軟口蓋切除術
などを、筋肉が疲弊してしまう前に行うことがとても重要です。
また、肥満はさらに呼吸を苦しくするため、体重管理も欠かせません。

■ 「まだ症状がないから」は要注意
診察では、
「まだ元気だから」
「いびきはかくけど普通に生活できています」
というお話をよく聞きます。
しかし、この病気は症状が出てからではすでに進行していることも少なくありません。
そのため、症状が出る前に予防的に手術を行います。
一般的には4歳頃までに手術を検討することが推奨されています。
■ 気になる方はお気軽にご相談ください
短頭種はとても魅力的な犬種ですが、その可愛らしい見た目の裏で、呼吸には大きな負担を抱えています。
「麻酔が危険」というよりも、呼吸がしづらいことが麻酔のリスクを高めているというのが本当のところです。
「うちの子は大丈夫かな?」
「今のうちに手術をした方がいいのかな?」
そんな疑問がありましたら、ぜひお気軽に院長までご相談ください。
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