あなたの愛犬は、口角を上げて舌を丸め、「にっこり笑っている」ように呼吸していませんか?
実はそれ、**笑顔ではなく「苦しいサイン」**かもしれません。
もくじ
Toggle■ 短頭種気道症候群とは
「短頭種気道症候群(BOAS)」とは、パグ・フレンチブルドッグ・ペキニーズなど、鼻の短い犬種に多く見られる呼吸の障害が連鎖的に起こる進行性の病気です。
(厳密には短頭種以外でも起こることがあります)
この病気の鍵は、“閉塞による陰圧”。
呼吸のたびに気道が狭くなることで、空気の流れが悪くなり、結果として肺や喉に大きな負担がかかります。
■ 鼻孔が狭い=呼吸抵抗が16倍に!?
短頭種の犬たちは、そもそも鼻の穴(鼻孔)が非常に狭い構造をしています。
通常の犬の鼻孔が〇や楕円形なのに対し、短頭種では線状やL字型に近い形になっています。

物理的には、空気抵抗は鼻孔の半径の4乗に反比例します。
つまり、穴の大きさが半分になると、空気抵抗は16倍にもなってしまうのです。
人間でも鼻を軽くつまんで呼吸すると苦しいですよね。
短頭種の子たちは、その状態で24時間365日を過ごしているのです。
本当に大変なことです。
(私も花粉症持ちなので、寝るときに鼻が詰まる苦しみはよくわかります…)
■ 陰圧が生み出す悪循環
この「呼吸のしにくさ」によって陰圧が生じ、
・気管がつぶれてしまう
・肺が過度に負担を受ける
・軟口蓋(のどち〇こ)が吸い込まれて気道をふさぐ
といった悪循環が起こります。
時間が経つにつれ、これらの変化は戻らなくなり、
「咽頭気道閉塞症候群」へと進行していきます。
結果として、睡眠中でも呼吸ができず突然死したり、熱中症を起こして亡くなるケースも少なくありません。
これが、パグやフレブルが短命になりやすい原因のひとつです。
■ 若いうちの手術で予防を
進行を防ぐためには、若いうちに鼻孔拡大手術や軟口蓋切除手術を行うのがおすすめです。
避妊・去勢手術と同時に実施できることも多く、早期介入がより高い効果をもたらします。
要は、**“陰圧を取り除いてあげる”**ことで、呼吸器への負担を減らし、
より快適に、長く健康に生きてもらえるということです。

■ 「笑顔」に見える呼吸はSOSかも
最初にお話しした“笑っているような表情”は、
実は喉を少しでも広げようとする苦しい呼吸のサインです。
「ガーガー」「ブーブー」と音がする場合は、
軟口蓋が気道に吸い込まれている状態で、危険なサインです。
■ ご相談ください
もし「うちの子、呼吸が苦しそうかも」と思ったら、
一度ご相談ください。
レントゲン検査などを交えながら、手術の必要性やタイミングについて丁寧にご説明いたします。
早めのケアで、あなたの愛犬の毎日をもっと楽にしてあげましょう🐾
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