小型犬でよく見られる心臓の病気に 僧帽弁閉鎖不全症(MR) があります。
心臓の弁がしっかり閉じなくなることで血液が逆流してしまう病気で、心雑音として見つかることが多いです。
皆様の愛犬もお薬を飲んでいる方は多いのではないでしょうか?
でもそのお薬、レントゲン検査・エコー検査をしてから処方されていますか?
~治療で使うお薬~
僧帽弁閉鎖不全症の治療には、
・ACE阻害剤(アピナック、フォルテコールなど)
・強心剤(ベトメディン、ピモベハートなど)
・利尿剤(フロセミド、アプカードなど)
がよく使われます。
ただし これらを「いつから」「どの薬を」「どのくらい」使うか がとても重要です。
~よくある問題点~
・心雑音があるだけで薬を始めてしまっているケース
・必要がなくなっても同じ薬を漫然と飲み続けているケース
・副作用が出てしまっているケース
強心剤などは副作用が目立ちにくいので、つい「飲んでいれば安心」と思ってしまうのですが、
実際は「早すぎる投与」は効果がなく、無駄になってしまうことがわかっています。また利尿剤などの「不要な継続」 によって腎臓へのダメージが進行し、腎臓病へ移行してしまっている場合もあります。
~心臓病のステージと治療開始の目安~
心臓病にはステージ分類があります。
B1:心雑音はあるが、心臓の拡大はない
B2:心雑音があり、心臓が少し拡大している
C:肺水腫を起こしたことがある
研究の結果、強心剤ピモベンダンはB2から投与すると結果的に寿命を延ばせることが証明されています。
逆にB1では効果がなく、早くから投与する意味はないとされています。
~なぜ定期検査が必要?~
心臓は逆流に耐えるために少しずつ形を変え(リモデリング)、ある時から一気に悪化して肺水腫に至ります。
肺水腫(ステージC)を起こしてしまうと余命は平均200日程度とされます。
そのため、”いかにB2にとどめられるか”カギとなります。
しかし 「いつCに移行するか」を症状だけでは正確な判断はできません。
だからこそ定期的に心臓エコーなどの検査を行い、
・心拡大がどのくらい進んでいるか
・今の薬の内容が合っているか
・新しい薬を追加すべきか
を見極めることが大切なのです。
~まとめ~
心臓の薬は「早くから」よりも「適切なタイミング」で始めることが大切
外見や症状だけでは治療効果は判断しづらいため、定期検査が必要
正しい時期に薬を使うことで、寿命を延ばし、QOLを守ることができる
🐾 「今飲んでいる薬が本当に合っているか」
🐾 「次のステージに移っていないか」
これを確認するために、ぜひ定期的な心臓検査を受けていただきたいと思います。
特に心臓エコー検査は心拡大や心臓のうっ血具合を測る上で非常に有用な検査となります。
当院では胸部レントゲン検査、心臓エコー検査を実施しております。
その子の症状に合わせ1ヶ月から半年に一度は受けていただきたいので、ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。



