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Toggle症例報告:膣ポリープの手術を行ったMダックスの女の子
女の子のわんちゃんに避妊手術を行うメリットのひとつに、「病気の予防」があります。
よく知られているものとしては、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍がありますが、実はそれ以外にも予防できる病気があります。
そのひとつが、今回ご紹介する膣ポリープです。
今回は、膣ポリープが大きくなり、日常生活にも支障が出てしまっていた
Mダックスの女の子の手術を行いましたので、その症例をご報告します。
膣ポリープとは?
膣ポリープとは、膣の粘膜から発生する良性の腫瘍です。
多くの場合、エストロゲンなどの性ホルモンの影響を受けて発生・増大します。
特に以下のような特徴があります。
- 未避妊の女の子に多い
- 発情期やその前後に大きくなりやすい
- 良性腫瘍だが、大きくなると生活に支障をきたす
- 外陰部から飛び出してしまうことがある
小さいうちは無症状なこともありますが、
大きくなると**外陰部から逸脱(いっだつ)**し、
・気になって舐めてしまう
・炎症や出血を起こす
・痛みや違和感で動きたがらない
・元気や食欲が低下する
といった症状が見られるようになります。
今回の症例について
今回のわんちゃんは、大きな膣ポリープを形成し、外陰部から完全に逸脱している状態でした。
飼い主さまからは
「気にして舐めてしまう」
「動きたがらず、元気がない」
とのご相談がありました。
逸脱しているポリープを一時的に膣内へ戻すことは可能ですが、
すぐにまた外へ出てきてしまい、根本的な解決にはなりません。
そのため、外科的な治療が必要と判断しました。
治療方針について
膣ポリープは、性ホルモン依存性の良性腫瘍です。
そのため、治療の基本は
- ポリープの外科的切除
- 避妊手術(卵巣・子宮の摘出)による再発防止
この2つを組み合わせて行うことです。
手術前の状態

外陰部から大きなポリープが逸脱しており、
表面には炎症も起きているような状態でした。
手術方法の工夫
今回の手術では、
- ポリープを可能な限り根元に近い位置で切除
- 根っこを完全に掘り起こすような切除は行わない
という方法を選択しました。
これは、
- 膣ポリープは良性であり
- 避妊手術を行うことで、ホルモンの影響がなくなり
- 残ったポリープ組織も時間とともに縮小・消失していくことが期待できる
ためです。
また、根治的にすべて切除しようとすると、
会陰切開を行い、大きく術野を広げる必要があり、手術侵襲が大きくなるというデメリットがあります。
今回は、わんちゃんへの負担を最小限にしつつ、十分な治療効果を得る方法を選択しました。
同時に避妊手術も実施しています。
手術後の様子

外陰部はすっきりとした見た目になり、
術後は本人も落ち着いていて、表情も明るく見えました。

今後について
膣ポリープは良性腫瘍ですが、
ホルモンの影響を受ける病気である以上、未避妊のままでは再発のリスクがあります。
今回は避妊手術も行っていますので、
今後はポリープの再発がないかを定期的に経過観察していく予定です。
最後に
膣ポリープはあまり聞き慣れない病気かもしれませんが、
避妊手術によって予防できる病気のひとつです。
「外陰部から何か出ている」
「陰部をしきりに気にしている」
そんな症状があれば、早めにご相談ください。
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