犬アトピー性皮膚炎の最新情報
3月7日、8日に開催された日本獣医皮膚科学会学術大会に参加してきました。
今回の学会のテーマは「アトピー性皮膚炎」です。
犬の皮膚病の中でも、アトピー性皮膚炎はとても多い疾患の一つであり、当院でも日常的に診療している病気です。
そのため、最新の知見を学ぶことができる大変貴重な機会となりました。
今回の学会では、英国出身のPeter Hill先生による
「犬アトピー性皮膚炎のアップデート」という講演が行われ、現在の治療や研究の動向について学ぶことができました。
ここ10年ほどで、犬のアトピー性皮膚炎の治療は大きく変化しています。
2016年には「アポキル」が日本で発売され、それまで主流だったステロイド中心の治療から、痒みの原因となる炎症のシグナルをピンポイントで抑える治療へと大きく進歩しました。
さらに2019年には注射薬である「サイトポイント」が登場し、副作用がほとんどない新しいタイプの治療薬として、多くの症例で使用されるようになりました。
そして2024年には「ゼンレリア」が発売され、これまでの薬の特徴を補う新しい選択肢として注目されています。

今回の講演では、日本でよく使用されているアポキルやゼンレリアと似た作用機序をもつ薬剤が、すでに海外では承認されている国もあるという話もありました。
犬のアトピー治療は現在も世界中で研究が進んでおり、今後も新しい薬が登場する可能性があります。
痒みに苦しむ動物たちが、より快適に生活できるようになることを期待したいですね。
また今回の学会では、人医療の臨床医や研究者、獣医師が一堂に会して議論するセッションもありました。
ヒトのアトピー性皮膚炎の治療では、抗体医薬(動物医療でいうサイトポイントのような薬)が治療の中心となっているというお話もあり、とても興味深い内容でした。
副作用がほとんどない治療薬が登場したことで、犬のアトピー治療の考え方も少しずつ変化しています。
これまでのように「とりあえずこの薬」という考え方ではなく、
・痒みの程度
・症状の出方
・生活環境
・長期的な管理
などを総合的に考え、その子に合った治療を選択することが大切になっています。
そのためには、アトピー性皮膚炎という病気について、飼い主さんにもより深く理解していただけるよう、しっかりとお話ししていくことも重要だと改めて感じました。

犬のアトピー性皮膚炎は、体質と長く付き合っていく病気です。
しかし、近年は治療の選択肢が増え、以前よりも痒みをコントロールしやすくなってきています。
当院でも、今回の学会で得た知見を活かしながら、それぞれの子に合った治療を飼い主さまと一緒に考えていきたいと思っています。
愛犬のかゆみや皮膚トラブルでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。



